会長。私と恋のゲームをしてください。

「お母さん?」

「えっ。ああ……」



言葉を濁すお母さん。

言いたくないことなのだろうか。


もしかして、会社をクビになったとか!?


ありえない話ではない……。

いや、どうなんだろう。

今の時代、クビなんてよくある話だけど、ウチに限ってそんなことはないよね。



「お父さんね、」



お母さんがスプーンをカレー皿に置いて、私の目を真っ直ぐ見る。

真剣な話のようで、思わずゴクリとつばを飲む。

掛け時計の音がリビングに響く。


もしかして本当に、クビにされちゃったとか?

変な汗が流れ出る。



「お父さん、大家さんのところに行っているのよ」

「そっか。クビにされ……。え?」



お父さんがクビにされたと覚悟していたけれど、話は違うようで。

大家さんのところへ、お父さんが行ったの?
なんで?

新たな疑問が私の頭に浮かぶ。