会長。私と恋のゲームをしてください。

「なん、」

「なんで、お前っ。正座してんだよ」



“なんですか”と言おうとしたところにかぶされた言葉。

笑いの理由が、正座?

会長のツボが分からない。



「特に理由はっ、」



反論しようとする私を無視して、笑いながら会長は私の隣に座った。


え、なんで隣?

部屋、広いんだから、わざわざ隣に座らなくてもいいのに。

近くにいたら、ドキドキしているのがバレちゃう。


私は正座していた足をくずして、膝を抱えて座る。

しばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのは会長だった。



「お前さ、好きな奴とかいるのか?」

「えっ」

「……いるんだな」



なんで、会長がそれを知っているの?

私に好きな人がいるって……。

しかも、なんで唐突にそんなことを聞いたの?


頭の中が一気にフル回転になる。


なんて返そう。


会長が好きです、なんて言えないし。

好きな人がいない、と言えるわけでもないし。


どうしよう。


私が黙っていると、会長が呟く。