会長。私と恋のゲームをしてください。

ハンバーグを作り終えた私は、時計を確認する。

夏樹ちゃんが帰ってくるまで、あと30分くらいありそうだ。


久しぶりに、ゲームでもしようかな。

会長も自分の部屋にいるだろうし……。


人目を気にせず、“ファイツ”が出来る。

誰かいてもいいけど、オンラインゲームだからチャット内容を見られたら恥ずかしい。


私はベッドの上でゲーム機を立ち上げる。


今日は、ハルくん、いるかな……?


ハルくんに伝えたいことがあるから。


ゲーム機が起動された。

“ファイツ”特有の音が流れる。

私はログインしてからハルくんを探す。



『ユキ』



ピコン、と画面上にメッセージが浮かび上がる。

メッセージの送り主はハルくんだった。



『久しぶりだね。なにかあったの?』



ハルくんは、変わらず“ナイト”の装備をしていて、なんだか懐かしく思えた。

そんなハルくんに、私は最近の出来事について話した。


アパートが改装になったこと。

家を追い出されてしまったこと。

両親と離れて過ごしていること。



『今は、知り合いの家にお世話になっているの』

『それは大変だったね』



ハルくんの言葉が心に届く。


うん。

いろいろと大変だった。

だけど、それ以上に、今が楽しい。