会長。私と恋のゲームをしてください。

「ハンバーグ作るんで。リビングで待っていてください」



会長の手が、私の頭から離れる。

それが寂しくて。

少し後悔した。


今、会長に想いを告げても、私の望む返事はもらえないと思う。

好き、と言ってしまったら。

会長と気まずくなって、高橋家にいることが出来なくなっちゃうかもしれない。

会長と、一緒に居ることも、笑うことも出来ないかもしれない。

そう思うと、『好き』なんて言えないよ。


うつむく私の頭をぽんぽん、としてから会長は階段を上っていった。


リビングじゃなくて、自分の部屋に行ったのかな?

部屋で静かに休みたいのかな?


リビングだと、キッチンから物音が聞こえちゃうもんね……。


自分から、離れて欲しいと言ったのに、姿が見えなくなると寂しくなる。


……ハンバーグ作ろ。


とびきり美味しいハンバーグ。

フライパンで焼けば、ジュージューと、美味しそうな音がした。