会長。私と恋のゲームをしてください。

「俺は、北澤と出掛けたいけど」



心臓が跳ねる。

その言葉ひとつで、全身に電流が走ったような感覚になる。


それと同時に。



「……私も。一緒にお出掛けしたいです」



素直にさせてくれるんだ。


……自分の気持ちを言い切った。


それがどれだけ勇気が必要なのか。

自分の思っていることを打ち明けることが、どれだけ大切なのか。

なんとなく分かった気がする。


今回は会長が、私と出掛けたいって、冗談だとしても、言ってくれたから。

私は自分の気持ちを言えた。



「じゃあ、明日、出掛けるか」

「……はいっ!」



ぽん、と頭の上に手が置かれる。

撫でてくれる手が、温かくて気持ちがいい。

思わず、目を閉じてしまいたくなる。


すごく、安心する……。



「明日のことは、夜に決めるか」

「はいっ! 夜に決めたいです!」



そう言うと、会長は声を出して笑った。


私、変なこと言ったかな?


首をかしげる私。

楽しそうに笑う会長。

会長は涙目になりながら。



「お前、俺のことが好きなのかよ」



頭をわしゃわしゃしてくる。


好きですよ。


本当は、そういいたいのに言葉が出てこない。