「寒い……雷こわい……」 フラフラと立ち上がる。 「なんでそんな濡れてんだよ!」 翔ちゃんはドアに鍵を差し込むとそれを抜きもしないで部屋に駆け込んで、ひったくるように手にしたタオルで私を包んでくれた。 その時翔ちゃんからフッと、せっけんみたいな香りがして戸惑った。 思わず体を引いてしまう。 だって、なんだろう、これ。 嗅いだことがある。 知ってる香りだ。 ひとつ言えるのは。 これ……翔ちゃんの香りじゃない。