「昨日一緒に帰ったんだけど、傘がひとつしかなかったから宮辺君は私を濡らさないように気を遣ってくれたの。それで結構濡れちゃって。朝から熱があったのにずっとそれ隠してたんだよね。そういう優しいとこ、あるじゃん彼」 奥寺さんはふわりと微笑んで私を見た。 「……そうだったんだ」 そっか。 昨日はそういうことがあったんだ。 やっぱりふたりは、香りが移るくらい 近い距離にいたんだね。