『聖戦が開始されました。皆さん、頑張ってください』
これといった作戦が提示されない中、本日最後の聖戦が始まった。
西軍側の光の壁に近いこの場所でも、やはり西軍の軍勢は押し寄せていないのがわかる。
「自軍のことで手一杯ってわけか。他軍に侵攻する余裕なんてないってことだな」
「まあそういうこった。今の西軍は地獄だぜ。元々仲間だったやつらが二分して戦ってんだからな。この北軍浄化会の連中があんまり強くねぇのは、西軍から人が攻めて来ないからだろうな」
俺の呟きに、杉村が反応した。
味方同士で戦ってもレベルは上がらない。
他軍の人間と戦わなければ強くなれない。
きっと、西軍が今の状況じゃなければ、北軍浄化会はこんなに大規模にはなっていなかっただろう。
西軍が内戦状態だからこそ作れた組織だが、西軍が内戦状態だからこそ強い人がいないという、とても脆い組織なのだ。
「弱いから……心だけは、繋がりだけは強いんだろうね。北軍を浄化するって意思は立派だし、それがあいつらの正義なんだろ。明確な『悪』なんていない戦いだ。自分が信じる正義と正義のぶつかり合いさね。これはそういう戦いなんだよ葵」



