東京ルミナスピラー

小さくそう呟いた是松の頭を撫で、拓真はコーヒーカップを手に取った。


「お前は甘えるのが下手なんだよ。もっと早くに打ち明けてくれてたら、いくらでも助けられたのに。まあ、気付いてやれなかった俺も悪かったんだけどよ」


拓真がそう言うと、是松は驚いた表情を向けた。


「わ、私……何も言ってないのに」


「バーカ。俺は『ヴァルハラ』も経験してんだぜ? 弱いやつが強いやつに蹂躙されるなんてのは腐るほど見て来たよ。子供達を守る為におっさんに身を差し出した中学生もいたくらいだ。美智がどんな風に生きて来たかなんて想像出来るぜ」


拓真がそう言った途端、是松の目から涙が溢れた。


是松は小柄な女性ではない。


女性ながら身長は180cmを超えているし、拓真よりも5cm以上高い。


それでも好きな人の前では、心は傷付きやすく、か弱い少女だった。


たとえ顔が以前のままだったとしても、拓真は同じようにそうしたであろう。


コーヒーカップをテーブルに置き、身体を是松の方に向けると、腕を回して抱き締めたのだ。


慰めるように、頭を撫でて。


言葉はいらなかった。


ただ、何度も何度も頭を撫でて、是松が泣き止むまで。