「皆、正気に戻れ……ああ、でも柔らかい……」
「お前こそいい加減正気に戻りやがれ! この不埒な侵入者め!」
突然そんな声が聞こえて、冷たい水を顔に掛けられ、俺は慌てて辺りを見回した。
「えっ!? な、なんだ!?」
そこは……屋上ではなく、小さな部屋の中。
電球が一つだけある、倉庫のような造りの部屋だった。
そこには、俺の他に横たわる人が二人と、バケツを持った北軍浄化会の信徒が立っていて俺を見下ろしていたのだ。
「ようやくお目覚めか。寝言を聞くに、さぞいい夢を見てたんだろうなぁ。わかるぜ。教祖様は甘い夢を見せてくれる。それも、夢か現実かわからないくらい鮮明なやつをな。幸せだっただろ?」
ケタケタと笑いながら、白い布を被った男は俺を馬鹿にするように話す。
夢……一体どこまでが現実で、どこからが夢だったんだ?
俺は……どこかのタイミングで眠ってしまって、捕らえられたのか。
もしもそうだとしたら、それこそ俺だけで侵入して良かった。
全員で侵入したら、この時点で全滅の可能性だってあったわけだ。
「お前ら捕虜の処遇は教祖様が決める。それまでここで怯えてるんだな。逃げ出せると思うなよ? お前らを縛ってるのは捕縛の鎖だからな」



