そうだよな。
そう答えるよな、普通。
いくら浅草橋に置き去りにされたからって、それで嫌いになるくらいなら、とっくに嫌いになってるだろうし。
それだけに、あの宗司が、自分をこんなに好きでいてくれる蘭子を雑に扱うというのが信じられなかった。
「そういえば、沙也香って人がどうとかって言ってたけど、誰なんだ?」
俺が尋ねると、ヘルメット越しでも不機嫌になったのがわかる。
「……浅草橋駅を一人で守ってた女の人。蘭子ほどじゃないけど結構強くて、すぐに仲良くなったんだ。でも、宗司は沙也香の代わりに蘭子を浅草橋駅に置いて行った」
「それがわからないんだよな。蘭子と宗司とはその……恋人同士なわけだろ? だったらなんで蘭子を置き去りに……」
「似てるんだ。沙也香は。似てるんだよ。沙也香は灯に! だから宗司は沙也香を葵に渡したくないんだ! 独り占めしたくて、葵には知られたくないんだ!」
その言葉を聞いて、俺はツナギの下にある、首にかかった灯のリングに触れた。
灯は死んだ。
それは宗司もわかっているはずなのに、立ち直っていたと思われた宗司は、まだ灯の死に囚われていたのか。
そう答えるよな、普通。
いくら浅草橋に置き去りにされたからって、それで嫌いになるくらいなら、とっくに嫌いになってるだろうし。
それだけに、あの宗司が、自分をこんなに好きでいてくれる蘭子を雑に扱うというのが信じられなかった。
「そういえば、沙也香って人がどうとかって言ってたけど、誰なんだ?」
俺が尋ねると、ヘルメット越しでも不機嫌になったのがわかる。
「……浅草橋駅を一人で守ってた女の人。蘭子ほどじゃないけど結構強くて、すぐに仲良くなったんだ。でも、宗司は沙也香の代わりに蘭子を浅草橋駅に置いて行った」
「それがわからないんだよな。蘭子と宗司とはその……恋人同士なわけだろ? だったらなんで蘭子を置き去りに……」
「似てるんだ。沙也香は。似てるんだよ。沙也香は灯に! だから宗司は沙也香を葵に渡したくないんだ! 独り占めしたくて、葵には知られたくないんだ!」
その言葉を聞いて、俺はツナギの下にある、首にかかった灯のリングに触れた。
灯は死んだ。
それは宗司もわかっているはずなのに、立ち直っていたと思われた宗司は、まだ灯の死に囚われていたのか。



