結城さんとの戦闘でずぶ濡れになって、身体も冷えた。


月影の部屋のシャワーを借り、クローゼットに入っていたという服を借りてリビングに戻った。


「さて、わたるくんを倒したことで、南軍の人達は葵くんを認めたわけです。もちろん、ただわたるくんを倒したからではなく、池田派のことや化け物のことなど、色んなことを解決に導いてくれた功績があってのことです。あやせくんが皆の希望となるのです。そう、『運命の少年』となって」


ソファに座るなり、千桜さんにそんなことを言われて、俺は夕蘭の顔を見て苦笑いした。


「何よ。もっと堂々としなよ。ほんと、出会った時と全然変わってないんだから。そうやって人に助けを求めるような目を向けるのやめなよ」


夕蘭にまでそんなことを言われて、俺はますますどうすれば良いかがわからなくなって。


「南軍は早い段階から、軍がひとつに纏まり始めていました。だから思いの外簡単に事が運びましたが、他の軍は違います。西軍は未だ篠田軍と神凪軍で争っていると聞きますし、北軍は何やらきな臭い動きがあるようです」


不安になるようなことを言うなよ……月影は本当にこういうところが冷たいというか無神経というか。


ズバッと言っちゃうんだよな。