結城さんに勝った。


それを南軍の人達の前で見せ付けて、南軍の人達は俺を認めてくれたみたいだ。


「葵くんのバカバカ! なんて戦い方してるのよ! 杏ちゃん心配したんだからね!」


月影派のアジト。


月影が使っているマンションの一室に移動した俺は、結城さんとの戦いを振り返りながら、杏子に怒られていた。


「そう言うなよ杏ちゃん。相手は昴なんだぜ? 死ぬ気にでもならねぇと、勝てない相手だったんだろうぜ」


伊良が持ち込んだビールを飲みながら、冷静に俺と結城さんの力の差を分析する。


「昴の敗因は明らかです。葵の首を刎ねていれば、回復をされることもなかったのに、昴は腹部を切断したわけでしょう? 詰めが甘いと言わざるを得ませんね」


ソファに座っている月影が、不機嫌そうにそう言ったけど、よほど結城さんが俺に負けたのが気に入らないみたいだな。


特訓してくれたのに、俺が負けるのを願ってたのか? 月影は。


「まあまあ皆さん。勝ったのは葵くんなのにそんなに責めては可哀想というもの。ここは素直に葵くんの勝利を称えましょう」


「ま、まあ、同じ南軍の人が負けたんだから喜べないのはわかりますけどね……」


大塚さんがそう言って拍手をしてくれたけど、俺はなんだか微妙な気分だった。