負けたのか……俺は。


両腕を斬られても、最後まで勝負を諦めない結城さんの執念が、勝ちを掴み取ったとでもいうのか?


哀れむような目で俺を見て、死にゆく姿を目に焼きつけるつもりなのか。


身体に力が入らない。


下半身の感覚がなく、このまま崩れ落ちるのだというのがわかる。


ここまで来て……。


「まだ終わってない!!」


崩れそうになりながら、素早く開いたPBS。


ソウルストーンは既に一個使っている。


失敗すれば二度と復活出来ないこの状況で、俺は回復を選んだ。


切断された下半身に力が入り、踏ん張れるようになった。


この時の結城さんの顔を俺は忘れない。


落ち始めたスピードを乗せた最後の一撃。


勝利したと思い込んだ結城さんが、その手を緩めた瞬間に、首に滑り込ませた日本刀。


回避なんて出来ない。


回復もさせない!


刃が首に触れる直前に、結城さんは小さく口を動かした。


そして次の瞬間、結城さんの首は飛び、地面に転がって光の粒に変化したのだ。


と、同時に二人を繋いでいた光が消え、俺はその解放感から地面に仰向けに倒れた。


雨音と、パチパチという拍手の音が混ざって聞こえていた。