東京ルミナスピラー

「そんな……神はこの少年に、どれだけ過酷な道を歩かせようというの……」


津堂の人体実験で、元に戻ることはない。


灯は、実験の初期段階だったから効果が不安定だったのだろう。


自分の意思ではなく、勝手に身体が変異していた。


でも友里は……。


「アオイ……クルシイ……ワタシヲ……コロシテ……」


俺を見て、涙を流し始めた友里を見て、俺の目からも涙が零れた。


ほんの数秒だが、どれほど頭を回転させたかわからない。


どうやれば友里を救えるのか、どうすれば元に戻すことが出来るのか……。


だけどそれは全て、灯を元に戻すために考えていた結果に繋がる。


つまり、その方法はないのだ。


「くっ! 伊良さん! 橘さん! 私達で何とかしましょう! これ以上葵の心を……」


月影が俺を気遣ってか、そう叫んだけれど、俺は言葉の途中で月影の前に手を伸ばして首を横に振った。


「いえ、俺は……やります」


日本刀を取り出して、友里にその切っ先を向ける。


「他の誰でもない。友里は俺に助けを求めているんだ。俺が終わらせなければならないことだ。そうだろう? 友里」