東京ルミナスピラー

屋上に出て、大塚さんがにこやかな表情で俺に語り掛ける。


空は曇っていて、良い天気とはとても言えなかったけれど、まるで俺の心のようだ。


「なんだって聞いてくださいよ。俺に答えられるならなんでも答えますよ」


「ふむ。それではお聞かせ願いたいのですが、葵くんはやはりバベルの塔を目指しているのですか?」


やはり……ということは、聞くまでもなく俺が目指すと思ってるんだろうな。


「はい。俺には叶えたい願いがありますから」


「ほう、ではそれはどんな願いですか?」


「……この街が光に包まれたあの日。あの瞬間をなかったことにしてほしい。こんな悲劇は、生まれてはいけなかったんです」


俺は寝ながら考えていたのかもしれない。


死んだ人を生き返らせて、この街を終わらせたとしても、悲劇の記憶は残るんじゃないかって。


それならば、何もなかったことにした方がいい。


そんなことが可能かどうかはわからないけど。


「なるほど、損失の補填ではなく、そもそものやり直しを要求するということですね。その信念は揺るぎませんか? この街で知り合った人や、ここだからこそ抱くことが出来た想い等、全てがなかったことになってしまうんですよ?」