一撃。


大和田を肉塊へと変えた武器達は、宗司の怒りによるものだったが、すでに最初の一撃で勝負はついていた。


「な……う、嘘でしょ……大和田を一撃で……」


自分の目が信じられないといった様子で、呆然と宗司を見ることしか出来ない舞美。


ゆっくりと後退りする舞美を庇おうと、二匹の鬼が宗司に襲い掛かるが……銃声が二発。


的確に鬼の眉間を撃ち抜いて、鬼達は光の粒に変化したのだ。


「なんだ、全然弱いじゃないのさ。さっきの爛鬼ってやつの方が全然強いわ」


銃口に息を吹きかけて、ニヤリと笑ってみせた沙也香。


舞美にとって、これほどまでに強くなっているというのは想定外だった。


連れて来た鬼達が弱かったというのもあるが、それ以上に舞美が戦力を見誤ったことが最大の敗因だったのだろう。


「わ、私は悪い夢でも見てるの? だって宗司くんはいつも死んでばかりで……全然強くなかったじゃない!」


「津堂の言いなりになって、俺達を見ていなかったことが舞美さんの敗因だよ。仲間を売った罰は受けろ」


宗司がそう言った時には、その左後ろにいるはずの蘭子の姿が消えていた。


そしてそれを視認した瞬間、舞美の胸に激しい痛みが走って。


自らの胸から突き出た円錐の武器を見て、光の粒となって舞美は消えた。


「仲間を売った……か。まさか、俺達の行動は全部津堂に筒抜けだったのか?」


もしもそうだとすると、灯があんな悲劇を迎えることになった原因の一端は、舞美にあったのかと、バベルの塔を見上げて宗司は言い知れぬ不安を覚えた。