周囲の景色に溶け込み、完全に姿が見えなくなった状態で、大和田は楽しそうに答える。


「ああそうだ! 俺が鬼になってお前を襲うのが悪で、それと戦うお前が正義だとしても! それ自体が『相対的な正義』に他ならねぇ! 俺には俺の正義があるんだよ! テメェには確たる正義がねぇ! 場に流されて、武器を振るうだけの見せかけの正義だ!」


そして、凄まじい速度で動き回っているのが足音からわかる。


これは、高速移動することで、いつ、どこから攻撃をするかというのをわからなくしようとしているのだろう。


そんな中で、宗司は笑った。


「そうそう、そんな感じだった。そんな感じで言われたんだったな。でもひとつだけ教えてやるよ。俺にも出来たぜ? その確たる正義ってやつがよ」


そう言って宗司がハルベルトを取り出して、下から上に振った瞬間。


空間に血が飛び散って、真っ二つになった大和田の姿が現れたのだ。


「何が正義かは俺が決める! それが俺の絶対的な正義だ!」


そして、真っ二つになった大和田に、次々と武器を取り出しては離しを繰り返し、瞬時に大和田の身体は肉塊へと変わった。


パンッと弾けるように光の粒に変わり、辺りは明るくなった。