また時間が経った。


もう、夢を見ているのか現実にいるのかもわからなくなるほどに意識が溶け合っていて、今が昼かも夜かも認識できなくなっていた。







「馬鹿者! どうやら、外側の強さだけを身に付けて、内面は全く磨かれておらぬようだな。情けない」









そんな俺を叱り飛ばすかのように、背後から声が聞こえた。


横になってうずくまる俺はゆっくりと目を開けて、その声に聞き耳を立てる。


「真の強さとは、肉体の強さにあらず。決して折れない、何事にも動じない強い心にこそ宿るものだ。なのに……お前はなんだ?」


何を言われても、俺が動けないことに変わりはなかった。


そこで「なんだと!」と、声の主に食ってかかるほど強ければ、ここまで落ち込んでいないかもしれないけれど。


「結局お前は可能性を信じられなかったのだ。何を犠牲にしてでも辿り着いた先に、お前が望む答えがあるというのに、その弱い心では、そこに辿り着くことも出来ないのか?」


何と言われようと心に届かない。


自分の殻に閉じこもる……という言葉がこれほど理解出来たことはないかもしれない。


その殻が、これ以上俺が傷付くのを防いでくれているようだった。