『北軍のキングが破壊されました。これにより、北軍の方々のレベルは半分になります。お気をつけ下さい』





突如頭の中に響いたそのガイダンスは、真治だけではなく、その場にいた全ての人達の動きを止めた。


いや、名鳥達北軍に属する者は、レベルが半分になってしまったのだから、動きを止めざるを得なかったのだ。


「悪いね真治。どうやら灯がキングを破壊したようだ。俺達の勝ちだな」


名鳥が勝ち誇ったように、槍を真治に向けたが、当の真治は目を細めて雷門の方角を見て、小さく首を横に振った。


「あの娘は……化け物に変化するのを、ソウルウェポンの力で抑えていた。名鳥や葵がそれを安定させていたんだ。キングを破壊すればソウルウェポンが消える。つまり……化け物に変化するのを止める力はなくなるということだ」


全てを知っているかのようにそう呟いた真治は、悲しそうな表情を浮かべて。


その直後に聞こえた、低く唸るような声と、喉がちぎれんばかりの悲鳴が、雷門から離れたここまで聞こえてきた。


その声を聞いて、名鳥の顔は今までにない不安げな表情へと変わって行った。


「な……に? 嘘だろ? おい、真治! なんだ今の声は! どうして……どうしてもっと早く言わなかったんだよ馬鹿野郎!!」


もう、どうしようもなくなったのだと理解した名鳥が真治に詰め寄り、服を掴んでその顔を殴り付けた。


悲しいかな、それが唯一真治に当たった攻撃だった。