『聖戦が開始されました。皆さん、頑張ってください』
命のやり取りをするというのに、気の抜けたような言葉が頭の中に響く。
その合図と共に、地鳴りのような人々の声が聞こえて来て、一斉に北軍へとなだれ込む。
「よ、よっしゃ! 俺達も遅れずに行くぜ!」
杉村さんはロングソードを取り出すと、声を震わせながら光の壁に向かおうと走り始めた。
「い、いや、ちょっと待って杉村さん! 北軍が進入してきてる!」
舞美さんが言う通り、光の壁を超えた人達が、押し返されるようにして戻ってくる。
つまり……ここにいる人達より、北軍からこちらに入ってくる人達の方が多い、もしくは強いと言うことか。
「へ、へへ。だったらここでやってやるぜ。ピヨ! ビビるなよ!」
「どの口が言ってるんですか……」
とはいえ、俺も不安で膝が震えている。
鬼を倒した時にはなかった、いいようのない不安だ。
そして……とうとう耐えきれなくなったのか、北軍の人達が光の壁を超えて西軍に入ってきたのだ。
壁際で押し合っているからか、それほど大人数ではないけれど……俺達にとっては初めての実戦。
「う、うわあああああああっ!」
俺と杉村は、武器を握り締めて敵に向かって走り出した。



