エレベーターで一階に降りると、そこには見知った顔があった。


ソファから立ち上がり、俺に向かって歩いて来たのは……浜瀬さんだ。


「北条葵……まだここをホームポイントにしていてくれたことをありがたく思うよ。裏切り者を探す手間が省けるからな!」


そして、問答無用でオープンフィンガーグローブを装着すると、殴り掛かって来たのだ。


その不意打ちにも似た行動を、俺は咄嗟にトンファーで受け止めた。


だが、浜瀬さんは俺の腕を掴んでロビーの中央に投げ飛ばす。


「いきなり何ですか!? 北軍からも南軍からも侵攻は少なくなったでしょ! 大和さんから聞いてるはずだ! それにタケさんだって! 西軍に帰っているでしょ!」


「そのタケさんが言ったんだぜピヨ。俺達のグループに、裏切り者がいるってな。そしてそれは、お前以外に考えられねえ。大人しく吐けよ。そしたら楽に殺してやるぜ?」


浜瀬さんだけじゃない。


杉村も、松坂、須田、ひなたも俺を取り囲み、冷たい目を向けている。


裏切り者だって?


タケさんがそう言ったのか!


「そんなこと、あるはずないだろ! 俺が裏切り者なら、一度別の場所に変えたホームポイントを元に戻したりしない!」