意識が緩やかにはっきりして行く。


まるで、新しい自分が一から作られているようで、不思議な気分だ。


俺が目を開けると……何度か見た天井。


俺は……一体どれだけの間、復活出来なかったのだろう。


身体を起こして、死ぬ直前のことを思い出しても、夢でも見ているかのようだ。


俺の父親……高山真治と、黒い悪魔、黒井が戦って。


冗談だろと思うようなファンタジックな光景だった。


「……灯。あいつ、父さんの所に送り届けるって言ってたな」


俺と母さんを放ったらかしにしていたやつの言うことなんて信用出来ないけど、それでも今はその言葉に賭けるしかない。


あれからどれだけの日数が経っているかわからないし、東軍に行っても無駄足になる可能性があるから。


南軍に残して来た皆のことも気になるけど、早く灯と合流しなければ。


黒井が治す方法はないと言っていたけど、それならそれで俺にも考えがある。


絶対に灯は助ける。


たとえそれで、俺が誰からどれだけ恨まれることになろうとも。


こうしている間にも、灯に残された時間がなくなっている。


いや、もしかするともう既に、その時間は尽きているかもしれないのだ。