「私達が食事をする為にも、人を殺さなければならないってわけ。1人殺せば大体500円。でも、自分より格段に弱い敵を殺せば大きく減額されてしまうから、自分と同じくらいか少し強いくらいの敵を殺せるといいね」


結局、生きたければ人を殺して、死にたくなければ戦えってことか。


鬼と戦うのも命懸けだってのに、人と戦うなんて。


一体……この街はなんだってんだよ。


「ヘイ! ピヨ! お前、鬼は殺せても、人を殺すのは嫌だとか言うんじゃないだろうな!? まさかだよな? おぉん?」


「ああっ! もうっ! 鬱陶しいな! 思ってるよ! なんで人を殺さなきゃならないのかって! あんたは嫌じゃないのかよ!」


何度も何度も、執拗に俺に絡んでくる杉村に、ほんのちょっぴり感情が暴れてしまう。


だけど、そんな俺を見て、杉村は真面目な表情で。


「嫌に決まってんだろ。今からぶっ殺す人も、今までぶっ殺した鬼も、元々は普通の人間なんだよ。もしかすると、こうなる前まで隣で飯食ってたヤツかもしれないんだぜ? それを理解しろよ。でもな、考えすぎんな。迷っちまったら、死ぬのはお前だぜ」


俺を弄っていた時のような、ふざけた感じじゃない。


この杉村も、ここで生きる為に必死なのだと思えた。