東京ルミナスピラー

灯の頭を抱えるように腕を回し、額を親指で撫でた。


「そりゃあ違うな。『運命の少年』が特別な力を持ってるわけじゃねぇよ。バベルの塔に登って、皆をこの地獄から解放するから『運命の少年』って呼ばれるだけだ。『バベル』では高山真治がそうだった」


俺がその名前に反応したことは、神谷には気付かれてはいないだろうけど、本当のところはどうかわからないな。


「そうだ。『ヴァルハラ』では結城昴が『運命の少年』になった。だから、今のお前が何者でもないただの少年でも、そうなる可能性はゼロじゃないってこった」


可能性の話で、随分盛り上がってくれるじゃないか。


だけど、今の俺にはそんな話はどうでも良くて、ただ灯を元に戻してやりたいという想いだけで動いている。


人の想いを背負って何かが出来るような大きな人間じゃないよ。


「それはそうと、東軍にいる津堂を探すって、あてはあるのか? その女の子を背負ったまま、ただ闇雲に東軍をうろついていても、死ぬだけだぞ」


時間の無駄とか、見付からないと言われるならともかく、死ぬとは穏やかじゃないな。


ひとつのグループのトップの人間がそう言うくらいだから、恐らくとんでもなく強い人達が集まっているんだろうけどさ。