東京ルミナスピラー

神谷が俺を心配してか、慌てた様子でそう言ったけど、俺は止まらなかった。


伊良の前に立ち、巨漢を見上げて呼吸を整える。


「神谷の言う通りだぞ? お前、そんな状態で俺と戦うつもりなのか? 随分舐められたもんだな」


「戦うつもりじゃない。邪魔をするなら殺すつもりだ。覚悟は出来たか? 俺は出来たからお前の前に立ってる」


しばらく睨み合って、一触即発。


いや、どちらかがピクリとでも動けば、その瞬間バトルが始まるであろうということは、ここにいる誰もが理解していただろう。


そんな中で……。











「あれ!? ちょっと、伊良ちゃん待って! その子はダメだよ! ストップ! ストップ!」











少ししゃがれた、だけどよく通る声が辺りに響いて、伊良が飛び降りたビルからまた一人、女性が飛び降りて来たのだ。


「杏ちゃん……ダメってどういうことだ?」


この女性……見覚えがあるな。


「この子は杏ちゃんが捕まった時に、助けに来てくれた子だよ! まあ、私を助けに来てくれたわけじゃないだろうけど、結果的にね」


思い出した。


蛎殻町公園で、千桜さんと一緒に磔にされていた人だ。