東京ルミナスピラー

隅田川の方に向かって、ゆっくりと歩く。


早く光の壁に到着しても、聖戦にならなければ越えられないし、両国を抜けるにはリスクが高すぎる。


新大橋を渡っていると、太陽の光を浴びて眩しく輝くバベルの塔が間近に見えて、思わず立ち止まって見上げてしまう。


「バベルの塔か……待ってろよ灯。何としてでも津堂に治させてやるから。それが無理だったら……」


そこから先の言葉は飲み込んだ。


ここからでは見えないバベルの塔の頂上を見上げて、でも、灯の為ならなんでもする覚悟が俺にはあった。


再び東軍の方に向かって歩き出した俺の目に、明太子の看板が飛び込んで来た。


あの看板の隣にある小さなビルが、津堂と煌我が潜んでいた場所だったんだよな。


破棄されたビルとはいえ、もしかしたら灯を治す為のヒントがあるかもしれない。


そう思った俺は、少し早歩きになってそのビルへと向かった。


千桜さん達によって、月影や囚われた人達は解放されたはずだけど、とりあえず行ってみるしかない。


新大橋を越えて、そのビルへとやって来た俺は、一縷の望みに賭けて中に入った。


「……なんだ、この感覚」


足を踏み入れただけでわかる。


ここには死と悪意が充満しているんだってことが。