そうだ、結城さんの声だ。


結城さんと吹雪さん、そして夕蘭が話していたのに、そうじゃないみたいな感覚。


ずっと昔、母さんに話し掛けられていたような。


そんな安心できる気分にさせてくれる。


「それにしても、あんたも物好きだね結城昴。葵が気を失って数日、ずっと葵と灯に付き添ってるなんてさ。千桜さんは宗司と蘭子の面倒を見てるんだろ?」


「お礼……と言うには全然足りませんけどね。葵はそうは思っていないかもしれませんけど、南軍と西軍を救ったんですよ、こいつは。そんな英雄を放ったらかしにするなんて、俺には出来ませんよ」


「義理堅いねぇ。ま、私も楽しませてもらってるから良いんだけどね。それより、ちょっと気付いたことがあるんだけどさ。東軍側の伊良派? ちょっとおかしな動きを見せてるみたいだね。月影は気付いてるのかい?」


「伊良派が? その話、少し詳しくお願い出来ますか? 千桜さんも呼ぶので、外に出ましょう」


そこまで話すと、結城さんと吹雪さんは部屋を出て行った。


はっきりしない意識の中で、ゆっくりと目を開けると天井が。


右を向くと、灯が寝息を立てて眠っていた。