なんか灯を説得するついでに俺をバカにしてないか?


それにしてもこの杉村、やけに灯ちゃん灯ちゃんって親しげじゃないかよ。


俺がいない間に、そんなに打ち解けたのか?


「お父さんの……血」


「そうだ。聞けば灯ちゃん達は、わざわざ招待状なんて送られて、それで光の壁を越えてやってきたんだろ? そこまでされて鬼になんてなるものかよ。それにさ、絶対に外さない見分け方があるんだよ。だから一緒に戦おうぜ? 皆が戦ってるのに、一人だけお荷物なんて嫌だろ?」


よくもまあ、こんなにベラベラと言葉が出てくるもんだよ。


でも、一つだけ納得できる言葉があったな。


招待状が送られてきてこの街に来たんだから、鬼になるはずがない……か。


「もしも私も武器を手にしたら……一緒に戦える……」


そう呟いて、俺の顔をジッと見つめた灯。


俺は……情けないけど、人を守れるほど強いわけじゃない。


断れ、断れと心の中で願うことしかできなかった。








「……私、やってみます」









俺の願いは叶わなかったようで、灯がすぐさまディスプレイを開いて、「standby」という文字を押した。