東京ルミナスピラー

六階。


裕二達の仲間の音が一瞬にして消えたという場所。


エレベーターの扉が開き、警戒しながら廊下に出た。


会話をすれば、ここに俺達がいると教えるようなものだ。


足音、衣擦れ、全ての音に細心の注意を払って廊下の奥を見る。


裕二の仲間達は、鬼に殺されて光の粒に変わったのか、遺体は見当たらない。


その代わりといってはなんだけど……見える。


暗い廊下の奥。非常口の前に、こちら向きに俯いている髪の長い女性の姿が。


隠れるわけでもなく、堂々と姿を現しているのは驚かなくて済むから助かるな。


「……お前が噂の鬼か。悪いが始末させてもらうぞ」


言葉を話す鬼はそれほど多くない。


恐らく返事はないと思っていたけど……俺のその予想は外れてしまった。


「違う。私は……鬼じゃない。私はね」


女性がそう言った瞬間、結城さんは何かに気付いたのか、振り返ると同時に俺の脇腹を蹴り、壁際へと吹っ飛ばしたのだ。


自らも回し蹴りの反動で壁際に飛ぶと、今まで俺達がいた場所に、天井から長い刃物のような物が振られた。


何かいる!


脇腹を押さえながら天井を見上げた俺は……そこに逆さまに張り付く鬼と目が合ってしまった。