「ここに来たと言うことは……そういうことなんですね? 千桜さん」


「ええ、お待たせしましたわたるくん」


そこに立つ男、結城さんがジッと俺を見詰めている。


俺達が「運命の少年」だと思っているのは千桜さんから聞いたけど、まさかそれを探す為に南軍に単調な攻めを繰り返しているとは思えない。


何か他に、理由があるはずだ。


「結城さん、姉さんに花を……」


「ただの気まぐれだ。気にするな北条葵」


今までに会った結城さんとは違う、言葉の一つ一つに覇気というか……凄みを感じる。


それほどまでに追い詰められる何かがあったのか、それとも本気で攻めているだけなのか。


その真意を確かめる為に結城さんに会いに来たんだ。


「結城さん、どうして今になって西軍を? 何かそうしなければならない理由があったんですか?」


「千桜さんが認めたということは、それなりの腕になったと言うことだろう。だけど、それは第一段階に過ぎない。情報を得るということは、それに見合う責任が伴うということだ。かつての俺がそうだったように、運命に身を投じる覚悟があるか?」


強く、殺気すら感じるとてつもなく重い言葉。


宗司と顔を見合わせて俺は……ゆっくりと口を開いた。