東京ルミナスピラー

「あ、い、今じゃなくて良いんだ。まだ16歳だし、結婚出来ないからね。でもさ、私が困ってる時はいつも葵が助けてくれるし、ずっと離れたくないんだよ……もう」


「灯……そうだな。俺も灯がいなくなったら不安になるし、傍にいてくれたら幸せだから、今は無理でも結婚しようか」


灯とは逆向きに、浴槽の縁に腰掛けて、ドキドキしながらそう言ったのを覚えている。


そして、お互いに顔を近付けて軽くキスをした。


可愛い恋人同士が、軽く約束する「結婚しよう」というのと同じかもしれない。


だけど、その人達とは違って俺達は家族で、別れたとしても毎日顔を合わせる存在なのだ。


結婚……という言葉が特別なだけで、きっと俺達にとっては普段と何も変わらないだろう。


それでも良かった。


「ありがとう、葵」


「何言ってんだよ灯。こっちこそありがとう」


名鳥家の人達は間違いなく俺の家族で、両親は俺を本当の息子のように接してくれた。


一時期は、自分だけ苗字が違うことが嫌で、本当の家族に思ってくれていないんじゃないかって考えたこともあった。


だからなんとなくこの瞬間、本当の家族になれたような気がしたんだ。