東京ルミナスピラー

夢の中の話だとか、都合のいい話だなんて、俺にとってはどうでもいい。


「バベル」や「ヴァルハラ」がここと同じような世界で、その世界で死んだ人達がここにいる。


それはつまり、誰かの願いが叶ったということだと信じたいから。


「それって葵のお母さん? だったら、信じたいよね。葵を守ってくれた人だもん」


「そう……だな。さて、身体も頭も洗えたし、そろそろ上がるか。腹減っただろ? 宗司達がメシを買いに行ってくれてるから、それを食べて元気を出さないとな」


洗面台の上のラックに置かれたバスタオルを取り、灯の頭に被せた俺は、もう一つのバスタオルで自分の身体を拭く。


ふんわりとした感触が気持ちいいから、ホテルのバスタオルは好きだ。


「ねぇ、葵……」


「うん?」


「あのさ……父さんが言ってたみたいに……その……私達、結婚しない?」


突然の灯の言葉に、俺はなんて返事をすればいいのかわからずに立ち尽くすことしか出来なかった。


二人とも16歳で、浴室に裸でいる時に、そんなことを言われるなんて思ってもいなかったから。


不安が強くてそんなことを言い出したのか。


灯の本心はわからないけど、その言葉の裏には、姉さんの死や、今までの経験が関係しているのだろうというのはなんとなく想像できた。