東京ルミナスピラー

「痒いところはないか? 女の子の頭なんて洗ったことないから、これでいいのかわからないけど」


「うん……大丈夫。気持ちいいよ」


ユニットバスの浴槽の縁に腰掛ける灯を支えながら、右手だけで頭を洗う。


想像通り泡が黒く、汚れが洗い流されているのがわかる。


俺が戦っている間、死んでいる間にも周りの時間は動いている。


灯を見ていると、それを痛いほど感じるよ。


宗司が戦い慣れして、強くなっているのも、それを強く感じさせてくれた。


「あ、身体は自分で洗うよ。恥ずかしいしね。背中は葵に洗ってほしいけど」


「わかったよ。でも、灯を見付けられて良かった。夕蘭がこの辺りにいるはずなんだけど、探すのは灯が元気になってからだな」


背中を撫でるように洗っていると、細かいかすり傷や切り傷がある。


灯を殺そうとしたやつがいなかったとは考えにくいから、必死に戦ったんだろうな。


「ねぇ、葵。葵はさっき、元通りになるって言ってたけど……本当に元通りに出来るの? お姉ちゃん、死んだんだよね。生き返るってことなの?」


「……ああ。両国に、白い塔があるのを知ってるだろ? あの一番上に行くんだ。そしたらきっと願いは叶う。母さんが……そう言ってた」