東京ルミナスピラー

「……葵。葵はどこにも行かないよね? 私を置いて、どこにも行かないよね」


その言葉が胸に突き刺さる。


もしも俺が、灯を置いてアジトを出なければ、こんなことにはなっていなかったんじゃないか。


目を覚まして俺がいないと知った灯は、一人でいることに恐怖したんじゃないかって。


「ずっと一緒にいるよ。だから元気な灯でいてくれよ。こんな姿、見るのは辛いから」


なぜあのトイレで倒れていたのか。


この街のことだ、フラフラと歩いていている灯を見て、強姦しようとするやつらがいても全然不思議じゃない。


そう思いはするけれど、信じたくはないし口にも出せそうにない。


「葵……ごめんね。私、臭いよね。お風呂に入りたいな。綺麗な身体でいたいよ」


「え? ああ……でも今は俺しかいなくて」


「葵が手伝って。一人じゃ立つのも辛いから」


つまりそれは、一緒に入るってことか。


いや、まあ……なんだかこっちが恥ずかしいけど、灯もこの臭いは辛いだろうし。


「わ、わかったよ。それにしても何年ぶりだよ。一緒に風呂に入るなんてさ」


照れ隠しにそう言ったけど、灯には照れる余裕もないように見えた。