少し歩いて上野駅の近く。


歩道橋が頭上に掛かるこの場所は、俺が舞桜と初めて出会った場所だ。


「しっかし、灯一人探すのも大変だな。こうも広くて建物が沢山だと、探すだけで老人になっちまいそうだぜ」


「何か……拓真達が情報を掴んでくれるといいんだけど」


宗司の言う通り、この街の中で灯を探すというのは凄まじく困難なことだ。


人ひとり探すということは、キングを探すのと同じことで、それがいかに困難かというのは言われなくともわかる。


「もしかすると北軍じゃないのかもな。だって灯が頼るとしたら、父さん以外いないはずだろ? いや、でも光ちゃんがあんなことになった南軍には行きたくないか……」


と、宗司が俺に気を遣いながらそう言った時だった。


不意に視界の上の方に動く物が映り……俺は歩道橋を見た。




「HAHAHA! 良くやったぜ良くやったぜ弥生! バカ共の居場所を教えるお前の役目は果たしたわけだ! 今日はお前を抱いてやる! さあ、戻ってこい!」




頭上から降り注いだ声。


今時ドレッドヘアーでサングラスをかけた、やけにガタイの良いタンクトップの男が、部下らしき人達を引き連れて歩道橋を埋め尽さんばかりに待ち構えていたのだ。