「悪いね、何のお構いも出来なくてさ。あんた達これからどこに行くの? もしも灯の情報が入ったら、拓真くんにでも走らせるから大まかな場所だけでも教えてよ」
善吉医院から出て、吹雪さんが尋ねたから、俺はPBSを開いて行く先を考えた。
とりあえずここにホームポイントを設定させてもらったから、最悪の自体があってもここに戻って来られる。
灯の実力では、街の中心地から北軍に入ることは出来ないとして、やっぱり聖戦時に北軍に侵入したと考えるのが妥当だ。
そうなると、父さんがいると思っている、この善吉医院に来る可能性は高い。
なのにまだ来ていないということは、死んでアジトに戻ったか、それとも北軍のどこかをさまよっているということになるな。
「一度、上野駅の方に行きます。多分、ここより東には行ってないと思うんですよね。だから、西軍寄りの方を重点的に探したいと思います」
「わかったよ。なんとか探させるわ。私も一緒に行けたら良いんだけどねぇ……なんせ……」
「年齢が年齢だからな。でも、とってもマウンテンなおっぱいが……」
「おい宗司。次、年齢のこと言ったら、生まれてきたことを後悔させてやるからな」
怒った時の吹雪さんの目は、尋常じゃないくらいに恐ろしい。
今まで会ったどんな人に向けられた殺意よりも、明確で強い意志を感じる。