「いや、何かっこつけて『今がその時期だってことですね……』とか言っちゃってんの? 灯を探しに来たんだろうが。まずはそれから、他はその後だろ!」


考えていないわけないのに、改めて宗司にそう言われると妙に恥ずかしくなる。


「ふぁっ! 宗司! 今女の名前を言ったか! 宗司は私の。離さない」


「だーっ! お前は話に入ってくるんじゃねぇ! 大人しく寝てなさい!」


蘭子がいると、宗司もかっこつかないな。


でもなんというか……おかげで重い空気にならずに済んだよ。


「悪いけど、見ての通り灯ちゃんはここには来てないよ。拓真くんと舞桜ちゃんにも言っておくけど、あんまり期待しないでね。北軍もどこぞのバカ親父が暴れてるせいで大変なんだ」


「ここに来る前に会いました。俺にも遅い掛かってきて、殺されそうになりましたよ」


「……家族なら止められるかと思ったけど、こりゃあ私達も腹を括るしかないかね」


父さんも言っていたけど、俺は家族としては認められてないのかもしれないな。


吹雪さんが言うように、家族なら止められるとすれば、俺じゃなく灯だと思う。


なんて、こんなことを考えてること自体、虚しいな。