東京ルミナスピラー

俺達は振り返りもしなかった。


ただひたすら、あの場から逃げるようにビルからビルへと飛び移り、少しでも死の危険から逃れようと必死だった。


北上して行くと、地上では元々少なかった鬼の数がさらに少なくなっている。


「それにしても……頑固なお前が素直に逃げるなんて思わなかったぜ。『父さんの目を覚まさせてやるんだ』なんて駄々をこねたら、気絶させてでも逃げるつもりだったのによ」


父さんから離れて余裕が生まれたのか、ビルの間を飛びながら宗司が笑ってそんなことを言い出す。


「……なんかさ、嫌だったんだよ。あれが父さんだって信じるのが。だってさ、俺に家族を失った悲しみがわかるわけがないって言ったんだぜ? 俺、家族って思われてなかったのかな」


いくら家族として、息子として扱ってくれていたとしても、本当はどこかで線引きされていたかと思うと、あれ以上話すのは怖かったというのもある。


「お前が親父さんを信じないでどうすんだよ。見ただろ、あのおかしなオーラみたいなの。あんなの絶対普通じゃないぜ。おかしいなら正気を取り戻させてやろうぜ。作戦を考えてよ」


今は無理でも……というのを宗司も飲み込んだのだろう。


俺にだって、あの力の差はわかるつもりだ。