東京ルミナスピラー

だけど、父さんと俺では力の差は歴然。


いくら吠えたところで、父さんに勝てるはずもない。


気付いた時には父さんの槍が横に振られていて。


穂先が俺の頭部を切り裂こうとしているのに、身体はまだ、防御姿勢を取ろうともしていなかった。


俺の反応速度を大幅に超えた超速度。


草野球とメジャーリーグくらいの差があるのだと、この時やっとその差を理解した。









が、俺の頭部は無事だった。


目の前で起こっていることを脳が処理するのに時間がかかる。


父さんの槍は、俺の髪の毛を少し切断しただけでピタリと止まっていた。


そして、俺の目の前には顔に布を巻いた人……上野駅で俺達に殺気を向けた人?


「早くここから逃げろ。今の名鳥はこの街で最強の獣だ。お前らでは太刀打ち出来ない」


この声は男。


それも、結構な年齢に思える人が、宗司と同じようなハルベルトの柄で、父さんの槍を受け止めていたのだ。


俺達が北軍じゃないとわかっていながら助けてくれるってのか。


何もない状況で出会っていたら、絶対に罠だと疑っていただろうけど。


何とか父さんの目を覚まさせたいと思ってもこの状況では、悔しいけど逃げるしかなさそうだ。


「葵、こいつの言う通りだ。今は逃げるぞ! おい、礼なんて言わねぇからな、クソ野郎」


「……早く行け」


なぜか喧嘩腰の宗司が、目の前の男にそう言って、俺達はこの場から逃げ出した。