「いぎっ!」


「キサマ、あの男トいたヤツ」


「そうだよ馬鹿野郎!」


一瞬、俺の顔を見て動きを止めたポーンに、左手に握り締めたトンファーを水平に振って、その頭部に一撃を食らわせる。


スパァン! という心地良い音が響いたけれど……手応えはほとんどない!


攻撃の威力を殺すように、ポーンは身体を捻りながら側転。


ほんの少し、頬にかすり傷がある程度でダメージなんてないことがわかった。


動きが見えないわけじゃない。


でも、それ以上に動きがトリッキーだ。


視覚効果を上手く使っているというか……距離感が掴みにくくてとにかくやりにくい。


前みたいな力押しとは違う印象を受ける。


「おー痛え。助かったぜ葵。まさかこんな散歩でソウルストーンを使うことになるとは思わなかったな。でも、もう油断はねぇ。ぶち殺す」


俺の隣でメリケンサックを装着して構えたタケさん。


今度は俺の番かな。


切断された腕がズキズキと痛むけど、そうとは思えないくらいに痛みは少ないような気がする。


この街がそうなっているのか、それともアドレナリンのおかげかはわからないけど。


PBSを開いて、ソウルストーンを消費して回復した俺の前で、ポーンが妙な動きをし始めた。