「残念。こんな簡単な罠にかかるんだから」
俺が斬ったと思った結城さんは……分身だった。
左側から声が聞こえて、トンファーを顔の横に構えながらその声の方を向いたけれど。
気付けば、結城さんの日本刀が俺の左腕を切断していて。
クルクルと弧を描いて床に落下する左腕が、やけにスローに見えた。
「うぐうううううううっ!? うがあっ!」
それでも、左腕を失ってもなお、結城さんに一太刀浴びせようと一歩踏み込んで日本刀を振るう。
だけど、その攻撃を結城さんは日本刀で容易に防いで。
まるで大人と子供くらいの力の差があると、俺に見せ付けるかのような戦い方だった。
ダメだ、この人には勝てない。
どう頑張ったって、俺が勝てる相手じゃなかったんだと。
武器を振るうたびに自信が失われて行く。
そして、とうとう俺の腕は上がらなくなった。
俺の攻撃を防ぐと同時に、結城さんが少しずつ反撃をしていて。
俺の身体はもう、血塗れになって動かなくなっていた。
結城さんの前に膝をついて、肩で息をしながら天を仰いだ。
雨が……顔にかかる感覚さえなくなってしまったようで。
こんなに静かに負けることがあるんだなって、感じていた。



