東京ルミナスピラー

善吉医院を出発して、父さんは姉さんの身体に負荷が掛からないようにゆっくりと、普通の速度で歩く。


本気で走れば、ここから南軍まで1分もあれば到着出来るだろうけど、それだと姉さんの負担が大きい。


「風が気持ちいいね。空が明るいから、今は朝なのかな」


「残念。もうすぐ日暮れだよ。ずっと家の中にいたから、時間がわからないんだな光は」


「どうして急に目が見えなくなったんだろう。目が見えたら、今が朝か夕方かなんてすぐにわかったのに」


姿は見えないけど、拓真達が俺達に人を近付けないようにしてくれているのがわかる。


時々目の前で人が内臓を飛び散らせて光の粒に変わるけど、この時だけは姉さんの目が見えなくて良かったと思うよ。


「ところで灯、あなたちゃんと葵に言ったの? 自分の気持ちに正直になれば良いのよ?」


「ちょ、ちょっと、お姉ちゃん! お父さんがいるのに……大丈夫。ね? 葵」


姉さんの言葉に慌てる灯。


それを聞いて、父さんがニヤニヤとした顔で俺を見た。


「おやおや、こりゃあ責任を取って灯の面倒を見てもらわなきゃならないか? 俺としては願ったり叶ったりだけどね」