「ね、ねえ。北軍でお父さんと会ったって本当？ もしかしてお姉ちゃんもいたんじゃ……」


灯が心配していたのはそれか。


「あぁ……姉さんもいたけど。ほら、俺達は西軍で、父さんと姉さんは北軍だろ？ 一緒にはいられないから、父さん達は父さん達でこの街から出る方法を探すんだってさ」


姉さんがあんな姿になってしまったことは、灯には言えない。


言えば、どれだけ悲しむかわからないから。


「そ、そう……そうだよね。お父さんが一緒なら、お姉ちゃんも大丈夫だよね。それより私達だね。宗司なんてもうソウルストーンが一個になっちゃったし」


姉さんは父さんに任せるしかない。


俺は……灯を守らないとな。


「つってもさ、父さんくらい強かったらキングを探すって目的を持てるだろうけど、俺達には目標がないんだよな。ただ、聖戦に参加して強くなるって……なんか、ただ人殺しを繰り返してるだけというかさ……」


北軍に入ってすぐのところで皆殺された。


舞桜ほどの強さを持つやつがいる中で、北軍の中のどこかにあるキングを探すなんて、今の俺には不可能に近いんだよな。


と、灯の横で唸っていた時だった。


入り口の自動ドアが開いた音が背後から聞こえたのだ。