随分勝手で、一方的な条件に聞こえる。


いや、そもそも俺と舞桜の強さが違いすぎて、今こうやって立っているのが不思議なくらいなんだよな。


「もし……断ったら?」


「脚を切り落として、死ぬまでゆっくりと切り刻む」


目が本気だ……これは断ったら本当に殺される。


殺された三人には悪いけど、絶好のチャンスで寸止めしてしまった俺にはもう、勝つ方法はなくなった。


仇討ちだと息巻いたところで、一瞬で殺されてしまうだろうから、この提案を受け入れるしかなかった。


「わ、わかったよ。それにしてもなんで俺はこんなに強い人ばかりが近くにいるんだよ……」


俺がそう言うと、無表情だった舞桜が少し微笑んだような気がした。


「北条葵……キミも不思議だね。殺し合うはずの敵軍の人間なのに、こうして普通に話が出来てる」


「そりゃどうも。そもそも、こんな光の壁が現れなきゃ、殺し合う必要すらなかったでしょ。敵とか味方とか、光の壁に仕切られて敵対させられてるだけなんだからさ」


舞桜も十分不思議な人だけどね。


でも……さっきの夢子さんもそうか。


生きる為に仕方なく殺している人達も、元は殺される理由さえない、俺と同じただの人間なんだ。