名鳥順一と黒井風助。


街中で会って、挨拶くらいは普通に出来る仲に戻っていたが、一悶着あった明にとっては、あまり出会いたくはない男だった。


「今年中……ってところかしらね。あなた、また悪巧みをしようとしてるわけじゃないわよね?」


「生憎と、その悪巧みってやつが潰えたばかりでね。お前らは幸せな家庭ってやつを築いてくれ。俺も真面目に生きるからよ」


そんな明の言葉に、手をヒラヒラと横に振って黒井は去って行った。


横断歩道の真ん中で、名鳥と明は不思議そうに首を傾げたが、特に気にする様子もなくその場を後にした。


この時、本来はPBTを二人に見せて、後の戦いを予感させるはずの黒井の行動は、存在しなくなったのである。


「あーあ。俺もそろそろ結婚すっかな。でも相手を探すところからだよなあ……誰か良い人い……何今のめっちゃ可愛い子。待って! お姉さん!」


想いが交差して生まれた殺戮の街。


それは遠い未来に、強く願った想いによって消滅したのである。


結城昴が終わらせた殺戮の街を、邪悪な意志によって蘇らせた者がいた。


そして復活した街を、また交差した想いが消滅に導いたのだ。


未来永劫、二度と存在しないように。