俺がそう言うと、美空ちゃんは満更でもない様子でニコニコしながらおにぎりを頬張る。


だけど面白くないのは夕蘭か。


自分の名前が上がらなかったことで、少し不機嫌そうに膨れている。


「そりゃあさ、あのクソ親父の方が私より強いけどさ。私だって一緒に戦って来た仲間なんだけどな。わかってるよ、私じゃ実力不足だってことくらい。でもさ……」


ブツブツと文句を言いながら、葛藤しているみたいだけど、俺と宗司も悩んでるんだよ。


バベルの塔突入までにタケさんが復活しなかったら、結局別の人を連れて行くしかないんだから。


「膨れるなよ夕蘭。バベルの塔の中は何が待ち構えてるかわからねぇんだし、わざわざ危険に飛び込むことはねぇだろ」


「それでも! 私は行きたいの! 私だってこの街の行く末を見たいし、何がどうなってるか知りたいって思うよ」


宗司の言葉に、強く言い反論した夕蘭。


俺が夕蘭の立場だったら……やっぱり同じことを考えていたのかな。


人に自分の運命を委ねるなら、自分もその場にいたいってさ。


「まあ、まだ決めたわけじゃないし、タケさんだって復活するかどうか……」


俺が宥めるようにそこまで言った時だった。


突然、遠くの方で何かが落下した音が聞こえたのだ。