その日の夜。


西軍に戻った俺と宗司は、秋葉原にあるビルの上で夜風に当たりながら、ぼんやりとバベルの塔を眺めてパンをかじっていた。


津堂は舞美さんと一緒に地下の何も無い部屋に。


首だけの煌我は王我に引き取られ、一体どんな屈辱を味わわされているやら。


「6人か。誰に行って欲しいか希望はあんのか? 強さだけで決めたら、簡単に後4人は決まるだろうけどよ」


「そうだな。父さんに結城さん、復活すればタケさんだろ? 後は……大塚さんか美空ちゃん、伊良さん、宗司の親父さんとか善吉医院の誰かってことになるんだろうけどさ」


その中に親父さんの名前があって不機嫌になったのか、わかりやすく眉間にシワを寄せてパンにかじりついた宗司。


ここまでの戦いで、親父さんがどれほどの実力者かは俺が言うまでもないだろうけど、それが逆に面白くないんだろうな。


「まあ、順当なところだと思うぜ。あのクソ親父は置いといてな。それにしても、親父と言えば……お前の本当の親父さん、あれ以来見てないけどどうなってんだろうな。津堂がおかしなこと言ってたけどさ」


元の世界で父さん……高山真治が捕まって、脳だけになったと言う話か。


話には聞いているけど、俺にはあの人が父さんだという記憶がなくて、それに動いている姿も見ているから本当にそんなことが起こっているのかわからないな。