それから少しして、偵察に行っていた千桜さんと大塚さんがやって来た。


「わたるくん。予想通りでしたよ。両国国技館に入るドアが開かれていて、そこからバベルの塔の内部に侵入出来るようです」


「そうですか。やはりあの時と同じってことか。ありがとうございます。千桜さん、マスター」


その報告は、やはり時が来たのだということを俺達に告げているようだった。


最後の戦い。


バベルの塔攻略が始まるのだと。


「しかし気になることもあります。入り口に大きく『6』という数字が書かれていまして、千桜さんと私が入ってみたら『4』に変わりました。出るとまた『6』に戻ったので、恐らく中に入れるのは6人なのかと思います」


人数制限があるのか。


ここにいる人達だけで、6人なんてゆうに超えているというのに。


「中に入る人を慎重に選ばなければならないな。葵、宗司、お前達が決めろ」


そんな中で、結城さんが俺と宗司を指差して、重要なことを決めろと言う。


そう言われるとなかなか難しくて、誰しも一長一短あるような気がして相当は出来ないんだよな。


「えっと……あの……と、とりあえず休んでからでいいですか? 疲労もあるだろうし、じっくり考えたいので」


「そう……だな。今すぐ行かなければならない理由はない。一度各軍に戻って休息を取ろう。もう良いですよね? 大和さん」


結城さんが尋ねると、大和さんは小さく頷いた。


一つの戦いが終わり、また一つの戦いが……今までの戦いが小さく思えるほどの、凄まじい戦いの幕が開けようとしていた。