東京ルミナスピラー

津堂が何を言いたいのかは俺にはわからない。


わからないけど、何かしら不遇な扱いを受けて来たのだろうということはわかる。


「しゃらくさいよねぇ。だったら何か? 娘を化け物に変えられた父親に、お前は『俺は正義だ』とでも言うつもりか? そんなの、認められるねぇだろクソ野郎!」


父さんがグラウンドの土を蹴り、腰を落として槍を構える。


「名鳥。お前とは『バベル』からの腐れ縁だが、まだそんなことを言っているのか? まだ俺がどんな人間かわかっていないのか?」


「どんな悪事でも、自分のやってることは正当化して、それを認めないやつが悪だって歪んだ考えを持ってるやつだっていうのはわかってるよ! だから俺は……」


「違うね、俺が『悪』だ」


父さんの言葉を遮って、自身を悪だと言い切った津堂は、ポケットからスマホのような形の物を取り出した。


この街に入った時に、スマホは消滅したはずなのに……と、考えていた時だった。


津堂がスマホを操作すると、俺達と津堂達の間にノイズのような物が走って……巨大な犬が、何もない空間に突如現れたのだ。


「おいおい……冗談じゃねぇや。昴、覚えているか?」


「名鳥さん、こいつはまさか……フェンリル!?」